ETV特集・選 「武器ではなく 命の水を ~医師・中村哲とアフガニスタン~」
2019年12月7日(土) 23:00~24:00
初回放送:2016年9月
アメリカで起きた同時多発テロから15年、世界では終わりの見えない「対テロ戦争」が続く。いったいわれわれはどこで道を間違えてしまったのだろうか。アフガニスタンで献身的な復興支援を続ける医師・中村哲(69)の活動を通して「平和に至る道」を考えるドキュメンタリー。
「対テロ戦争」の標的として最初に攻撃されたアフガニスタン。実は当時、現地では100年に1度と言われる大干ばつが続いていた。農業は壊滅的打撃を受け、飢えと渇きが多くの人々の命を奪った。今もなお国民の3分の1にあたる760万人が食糧不足に苦しんでいる。この干ばつと闘い続けているのが、1990年代からアフガニスタンで医療支援に従事してきた中村哲だ。「武器や戦車では問題は解決しない。農業の復活こそが、アフガン復興の礎だ」。そう考えた中村は2003年、白衣を脱ぎ、アフガン東部の乾いた大地をうるおす用水路の建設に乗り出した。過酷な自然との闘い。米軍による誤射。現地の人々とともにあらゆる苦難を乗り越え、27キロに及ぶ「マルワリード用水路」は完成した。周辺の村落では緑が蘇り、いま再び平穏な人々の営みが始まろうとしている。15年にわたる不屈の歩みを描いた記録。(初回放送:2016年9月)